レポート本文の書き方|論証型

大学レポートの書き方

論証レポートとは、提示されたテーマに対して自分の見解を述べるとともに、その見解を支える根拠や論拠を示すレポートです。

一般的なレポートのタイプであり、人文科目などでよく出されます。

この記事では「現代社会における倫理の役割(2089字)」を見本に論証型レポートを書く具体的な手順を説明しています。

レポートの具体的なテーマ例を知りたい方は、科目別にまとめているこちらの一覧からご覧ください。

レポートの総合的な情報はこちらの記事でまとめています。ぜひご覧ください。

徹底的なリサーチ


まずはテーマについて徹底的に調べます。関連する書籍、記事、サイトなどを読み、レポートに使えそうなキーワードをメモしておきます。

具体的に読む量は選ぶテーマにもよりますが、下にあるアウトラインを作成できるくらいは調べておくと良いでしょう。

最後に参考文献として論文の中で参照する必要があるので、読んだものは必ず記録しておいて下さい。

リサーチには以下のような手法が効率的です。

  • 査読付き雑誌や政府報告書など、信頼できる情報源を使用する。
  • 各出典の要点を要約し、関連する引用や統計に注意しながら、詳細なメモを取る。
  • Google scholarZoteroなどのツールを使って、出典を記録し、参考文献リストを作成する。

アウトラインから始める


レポートを書き始める前に、論文の構成の指針となるアウトラインを作成することが重要です。

当たり前ですが評価をつける先生は提出された全てのレポートを読まなければいけません。そのため、採点は機械的に行われます。

具体的に見られる部分は「理論の正しさ」「考えの深さ」「構成の正しさ」です。アウトラインを作成することでこの辺りを意識しやすくなります。

ここでは、レポートの序論本論結論、そして主張したい主要なポイントを決めます。こうすることで、これから書くレポートの概要を整理することができ、レポートが明確かつ簡潔なものになります。

以下に「現代社会における倫理の役割」と言うテーマの例を示します。

I. 序論
    A. 倫理の定義
    B. さまざまな領域における倫理の重要性の概要

II. ビジネス倫理
    A. 歴史的背景 2008年の世界金融危機
    B. ビジネス倫理を軽視した結果
    C. 現代の理解 利益を超えて
        1. 社会的責任
        2. 環境の持続可能性

III. 医療倫理
    A. 医療の基本理念 "危害を加えない"
    B. 医療における倫理的ジレンマ:患者の守秘義務、インフォームド・コンセント、終末期の決定、遺伝子研究
    C. 事例研究 COVID-19パンデミック
        1. 限られた医療資源の分配
        2. 公平性、有効性、透明性を確保する原則

IV. 技術における倫理
    A. 技術の進歩に伴う倫理問題の高まり
    B. データのプライバシーと監視に関する懸念
    C. AIとその意味合い
        1. 説明責任
        2. 透明性
        3. 偏ったアルゴリズム
    D. バイオテクノロジーと遺伝子編集
        1. 潜在的利益
        2. 倫理的考察

V. 政治倫理
    A. 倫理的ガバナンスの重要性
    B. ポピュリズム、誤った情報、分裂政治の急増
    C. 公共の福祉のための倫理基準の遵守

VI. 倫理と文化の相互関係
    A. 文化と倫理の本質的な結びつき
    B. 社会の変化に伴う倫理基準の進化
    C. 多文化社会における課題
        1. 倫理的価値観の衝突
        2. 異文化間対話の必要性

VII. 結論
    A. 様々な領域における倫理の意義の再確認
    B. 現代生活における羅針盤としての倫理
    C. 今後も倫理的配慮を重視する必要性

しっかりとした序論を書く


レポートの導入部は、読み手に与える最初の印象なので、非常に大切です。

機械的に採点するとは書きましたが、機械ではありません。印象に残る序文が書ければそれだけで印象が良くなり、採点に影響します。


序論では、テーマの背景となる情報を示してから、レポートで主張する主要な論点について簡潔に書きます。

序論の全体に対する割合は10〜20%くらいを目安にしてください。


印象的な序論の書き方はたくさんありますが、下にその書き方と具体例を示します。

  1. 掴みから始める:読み手の興味を引き、読み進めたくなるような掴みで書き始めましょう。意外な統計データ、思わせぶりな質問、関連する引用などです。
  2. 文脈を説明する:テーマの背景を説明し、そのテーマが重要な理由や選んだ理由を説明します。これをすることで、後ろの議論に文脈が生まれて説得力が上がります。
  3. 目的を述べる:何を達成したいのか、何を取り上げるのか、などレポートの目的を述べます。これによって、読み手にどのようなレポートかを理解してもらえます。
  4. 主な論点を示す:レポートの主な論点を簡単に説明します。読み手を誘導し、読み進めていく際の大体の流れを理解してもらえます。
I. 序論
[1]"悪の勝利に必要な唯一のことは、善人が何もしないことである" - エドモンド・バーク この痛烈な名言は、社会の成果を形成する上での倫理の重要性を強調している。
[2]技術の進歩、グローバル化、ダイナミックな社会変化の岐路に立つ今、倫理の重要性はさらに顕著になっている。
[3]本レポートでは、倫理が現代生活のさまざまな局面で果たす最も重要な役割を取り上げたい。
[4]ビジネス、医療、テクノロジー、政治の領域を深く掘り下げることで、行動や意思決定、社会の進歩を導く上で倫理的配慮がもたらす包括的な影響を解明することを目指す。

序論では、レポートの目的を印象的かつ明確に示すことを目指します。また、文脈や背景を説明し、主張の主要な論点をまとめて、簡潔に説明します。

本論の段落を作成する


レポートの本論は、主張とそれを裏付ける証拠を詳しく説明する部分です。

明確かつ簡潔に書き、段落を論理的に構成することが重要です。各段落は、1つのアイデアやポイントに焦点を当てて、これから行う主張の導入となるトピックで始まるようにします。

本論の全体に対する割合は60〜80%くらいです。


以下は本論を作成する際のガイドラインと、それを踏まえた具体例です。

  1. 各段落が、明確で具体的な目的を持っているか
  2. 具体的な例やデータを用いて、主張を裏付けているか
  3. レポート全体を通して、一貫した言葉遣いを維持しているか
  4. 段落やアイデアの流れがスムーズになっているか
  5. 読み手にとって分かりやすい表現になっているか
1. ビジネス倫理

ビジネスの世界において、倫理は意思決定プロセスを導き、企業行動を形成する上で欠くことのできない役割を果たしている。2008年の世界金融危機は、倫理的な境界線が踏み越えられたときに何が起こりうるかを示す適切な例となった。略奪的な融資、リスクの高い投資、透明性の欠如は、世界中の経済に壊滅的な結果をもたらした。その余波を受けて、企業倫理が再び重視されるようになり、企業は長期的な成功は単に利益だけでなく、倫理的に健全な評判を維持することにかかっていることを理解するようになった。

さらに、ビジネスにおける倫理的配慮は、社会的責任や環境の持続可能性にまで拡大している。今日、企業は利益を生み出すだけでなく、二酸化炭素排出量の削減、公正な労働慣行の確保、地域社会への貢献といった責任を果たすことが求められている。

2. 医療倫理

医療もまた、倫理が極めて重要な役割を果たす領域である。危害を加えない」という医療の第一の理念は、倫理的配慮の重要性を強調している。患者の守秘義務やインフォームド・コンセントから、終末期の決定や遺伝子研究に至るまで、医療のあらゆる場面で倫理的ガイドラインの厳守が求められている。

最近のCOVID-19パンデミックは、こうした倫理的ジレンマを際立たせた。人工呼吸器やワクチンなど、限られた医療資源の分配に関して選択を迫られた。ここで倫理の原則は、公平性、有効性、透明性を重視し、これらの資源が利益を最大化し、害を最小化する方法で配分されることを保証した。

3. 技術における倫理

過去数十年にわたるテクノロジーの急速な進歩は、多くの倫理的問題を生み出してきた。懸念は、データのプライバシーや監視から、人工知能やバイオテクノロジーの悪用の可能性まで多岐にわたる。

例えば、ソーシャルメディア・プラットフォームは、言論の自由と誤報の危険性とのバランスに苦慮している。同様に、金融から防衛に至る様々な分野へのAIの導入は、説明責任、透明性、偏ったアルゴリズムの可能性についての懸念を引き起こしている。

さらに、バイオテクノロジーが遺伝子編集のような手法を通じて生命の本質を操作することを可能にするにつれ、私たちはそのような介入の境界線に関する深遠な倫理的問題に直面している。例えば、遺伝性疾患を根絶するためにヒトゲノムを改変すべきなのだろうか?潜在的な利益は否定できないが、倫理的な意味合いは広大かつ多面的である。

4. 政治倫理

政治の領域では、倫理は透明性、説明責任、正義と公正の原則の遵守を保証する。倫理的な統治は、国民の信頼を維持し、権力が責任を持って行使されることを保証するために極めて重要である。

しかし、現代社会では、世界各地でポピュリズム、誤った情報、分裂政治が急増している。そのため、倫理の役割はより一層重要になっている。倫理基準を守ることで、政治家は短期的な利益や個人的な利益よりも長期的な社会的利益を優先し、真の公共の福祉を目指すことができる。

5. 倫理と文化の相互関係

文化は、社会の価値観、信念、慣習の集合体として、倫理と本質的に結びついている。社会が進化するにつれて、その倫理基準も進化する。ある時代には倫理的とみなされたことが、別の時代には非倫理的とみなされることもある。例えば、かつては当たり前に行われていた児童労働のような過去の慣行は、現在では普遍的に非難されている。

多文化主義やグローバルな相互関係を特徴とする現代社会では、倫理的価値観の衝突がしばしば見られる。このような環境では、異文化間の対話と理解を促進し、倫理が障壁ではなく橋となることを保証することが不可欠となる。

このガイドラインに従うことで、主張が分かりやすく説得力のある本論にすることができます。

説得力のある結論で締めくくる


レポートの結論は、本文で提示されたすべての情報をまとめるものです。

結論の全体に対する割合は10〜20%くらいです。

以下に説得力のある結論を書くポイントと、それを踏まえた具体例を示します。

  1. 要点をまとめる:本論で紹介した主な論点と根拠を簡潔にまとめます。こうすることで、読み手に重要なポイントを最後に思い出してもらいます。
  2. テーマの重要性を強調する:レポートのテーマがなぜ重要なのか、なぜ読み手に関係があるのか説明します。
  3. 行動喚起を行う:可能なテーマであれば、結論に行動への呼びかけを盛り込みます。これは、授業への関心度の高さなどを示すことができます。
  4. 新しい情報の紹介は避ける:結論では、新しい情報や議論を紹介しない方がいいです。すでに提示された内容を要約し、補強することに重点を置きます。
  5. 結論的な言葉で締める:曖昧で不確かな表現は避け、自信を持ってあなたの主張の正しさを示しましょう。
VII. 結論
現代社会における倫理の役割は、紛れもなく広大かつ多面的である。現代生活の複雑さが増すにつれ、それらを導くための強固な倫理的枠組みの必要性も増している。ビジネス、医療、テクノロジー、政治のいずれにおいても、倫理は、行動や決定が正義、公正、大善の原則に沿ったものであることを保証するものである。

急速な変化と不確実性を特徴とする時代において、倫理は羅針盤となり、個人も組織も同様に、すべての人の尊厳、権利、幸福を守る道へと導く。社会が未来に向かって前進するとき、倫理が常に最前線にあり続け、進化し続ける現代社会の中で道標となることは、その構成員全員に課せられた責務である。

これらのステップを踏めば、レポートで提示したすべての情報をまとめ、説得力のある結論を書くことができます。

まとめ

このブログでは、評価される大学レポートの書き方のヒントとステップを紹介しました。

  • 関連性が高く興味深いトピックの選択し詳しく調べる
  • 明確で簡潔な文でまとめる
  • 序論ではテーマの背景となる情報を示してから、レポートで主張する主要な論点について簡潔に書く
  • 本論では主張とそれを裏付ける証拠を詳しく説明する
  • 結論では、要点をまとめ、トピックの重要性を強調し、新しい情報を導入しないようにする

これらのステップを踏むことで、書き手の研究スキルやトピックに関する知識を示す、評価の高いレポートを作成できます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました